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美術鑑賞×てつがく対話~『ミケル・バルセロ展』~

2022/03/26

 

東京オペラシティで開催されていた『ミケル・バルセロ展』へ行ってきました。

今回は、子どもと大人入り混じっての「鑑賞型てつがく対話」が目的です。

 

こちらの会場では写真撮影OKの作品も多く、それぞれが印象に残った作品を写真に収めながら近くにいる人と(または自分の中で)小声でヒソヒソと話しながら鑑賞をしました。その後、対話用LINEグループを作成し、それぞれが挙げた写真に対してコメント欄で対話を行うという試みです。

 

会場風景より ≪雉のいるテーブル≫ 1991年

バルセロ展のパンフレットの表紙にもなっているこちらの作品。タイトルは≪雉(きじ)のいるテーブル≫ですが・・・よーく見ると雉意外にもいろんな生き物がいますね。

A:実際に見たら雉どころかたこやエビや魚や、満載で驚いた

B:不気味なのに魚の目がクリリとして面白いと思った。

雉よりエビのが目立つのに≪雉のいるテーブル≫というタイトルなのなんでだろう?

C:このテーブルの上で生きてるのは雉だけだったりして!?

D:ザリガニ、魚、骸骨、ウツボ、魚の骨、タコ、ゴキブリ、クワガタがいた。

ゴリラも!?

 

会場風景より ≪海のスープ≫ 1984年

この作品は、大きな海の絵に赤く塗られた太い棒がぷすりと刺さって海を混ぜ混ぜしています。実物の迫力は想像以上です!

A:描くというだけでなく、刺すというのが面白かった

B:海のスープはしょっぱいブイヤベースみたいな感じかな?

C:棒が後ろの壁に突き抜けてるのか気になった!

D:このスープを飲むのは誰?巨人?宇宙人?神?

E:綺麗な宇宙

F:このスープはギリシャ神話の海の神ポセイドンのかも!?

 

会場風景より ≪家族の肖像≫ 2014年

いびつな形の壺が押し合いへしあいしながらくっつきあっているこちらの作品。正面から見るとこんな感じですが、横から見るとなんと・・・

穴が貫通しています!

A:穴の先に何が見えるのか覗いたら、息子がいた。私と彼はつながっているのか?一体何で?

B:まさか誰かとつないでいるのかも

C:一番好きだった!

D:みんなちょっとずつ潰れてる。こんな風になにか刺さったような繋がり方の家族なんだねと思った

E:僕だったら『見た目にだまされるな』っていうタイトルをつける。

普通のツボだと思うなよ、貫通してるからな!

F:家族って何が貫いているのだろうか。何が貫いていれば家族と言えるのだろうか

 

会場風景より ≪下は熱い≫ 2019年

海の中で魚が飛び跳ねているようなこちらの作品。

A:シャチか?ペンギンか?

B:シンゴジラの予感

C:逃げまどっているのか?

D:うっかりタイトルを見たら≪下が熱い≫って、なにか事件のにおいがする。マグマでだんだん魚がゆだって、海においしい出汁が出ていそうな。

E:公害じゃない?

 

会場風景より ≪パソ・ドブレ≫ 映像作品 2015年

会場にはミケル・バルセロの実際の制作の様子を動画に収めた作品もありました。バルセロの自由で大胆な作品が作られていく様子にこどもも大人も圧倒されていました。

A:怖かった

B:次々に変容していくさまに感情をかき乱された。笑ったり鳥肌が立ったり、気持ちがジェットコースターになった。すげー!

C:これには驚いた。粘土をかぶる、粘土に登る、粘土に入るなんて発想はなかった。粘土はこねたり形を作るものだと思ってた。

D:気持ちよさそうって思った

E:何を思いながら作ってるんだろうと思った。

 

答えがありそうでなさそうで、知っているようで初めてのようで、分かるようでわからないような、そんなミケル・バルセロの作品たち。

全体的にとても印象的だったのは、「わぁ!面白い!!」とか「なにこれ!」とか「あ、これってきっとこういうことだよ!」と全ての作品がどんどんこちらのイマジネーションやインスピレーションを開いてくるということ。

何と言うか、作品が(もしかしたらバルセロ本人が?)とても近く感じるんです。

「ぼくはこれが面白いと思うんだけど、君はどう感じる?」ってニヤリと笑っているような、そんな感じ。

 

展示自体はすでに終了してしまいましたが、対話はまだ続いていくかも。

今度アトリエに行ったら私も粘土に入ってみようかなー。